演奏映像 http://youtu.be/yafxYQB-U-A
アイルランド北部、モイルの海には、ケルト伝説三大悲話の一つ「リールの子ども達」の物語が伝わっています。１８００年初頭、トーマス・ムーアは、アイルランドのエアに４人の子ども達の運命を下敷きにした歌詞を載せました。そして今回、今井先生に、このエアをモチーフにした曲を書いていただく様にお願いしました。また新しいモイルの海の物語が始まります。
（初演プログラムより）
実はプログラムノートを書いた時には、まだ、今井先生と構想を相談しただけで、ほとんど形になっていませんでした。その後、先生が病気で倒れられ、できあがったのは本番１週間前、最終的な仕上げは病室で、という作品となりました。
モイルの海は、冷たい風にいつも荒れ狂っていて、海の上を飛ぶ鳥達も羽を休める事ができません。その荒れた海に渦巻く、形以前の、恐れ、希望、憧れ、全ての母である海から生まれる命たち。それは必ずしも美しい物ばかりではなく。。。消えない悲しみから生まれる恐ろしい異形の物を、どの様な人がグロテスクと言う事ができるのだろう。
海から始まる命の大行進をイメージし、先生に助けて頂きながら詩を書きました。
 
『モイルの海鳴り』
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遠く 遠く 遠くから わたしを呼ぶ声がする モイルの海が わたしの魂をゆすぶる 哀しみこそは 海鳴りの （海鳴りの！） 引き千切られた思いがこぼれ出し 流れていく （流れていく） 流れていく （流れていく）・・・
遠く 近く 耳元で わたしを呼ぶ声がする （呼ぶ声がする） モイルの海鳴りが わたしの深みに暗闇を穿つ わたしを呼び起こす
わたしに触れ わたしを追い越し 波のかげに すべりこむ 波の底に 落ちていく おびただしい わたし おびただしい 命
（ハープ予感。
弦、テルミン、命と共に揺れる）
遠く 近く 耳元で わたしを呼ぶ声がする モイルの海鳴りが わたしの深みに暗闇を穿つ わたしを呼び起こす
わたしに触れ わたしを追い越し 波のかげに すべりこむ 波の底に 落ちていく おびただしい わたし おびただしい 命
海鳴りは 鈍色のしぶきをあげ 青白くかすみ 紫に砕ける 朱の色に染まり 緑 黄 白 黒 金色。。。 螺旋を描き渦を巻く
溶けてしまった悲しみに 無数の海鳴りが集まってくる もがき ふるえ ゆがみ うねり 命を合わせて 脈動する
海へ 陸へ 空へ あふれ出す
（ハープ、流れ出す。
弦、テルミン、命と共に流れる。）
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