『竹取物語』

原作 ： 沙原 秀・竹取物語 台本 ： 大西ようこ 引用 ： 高野山真言宗聲明・阿弥陀陀羅尼 出典 (1)『竹取物語』（沙原 秀） (2)『竹取物語』阪倉篤義校訂（岩波文庫） (3)『禅林類聚・八』 (4)『竹取物語』（沙原 秀 原作） 曲・監修 ： ぷらイム 挿入曲 ： 白鳥（サン＝サーンス）・月の光（ドビュッシー）

 

	（聲明ありて後重ねて）   汝　選ばれし者 生まれよ 天界を下りて　人の世の生を生きよ 無辺世界を　思うがままに生きよ (4)     （阿弥陀陀羅尼へ）   このちごの形　けうらなる事　世になく 屋のうちは　暗き所なく　光満ちたり 翁　心地あしく　苦しき時も　この子を見れば 苦しき事もやみぬ　腹立たしき事も慰みけり (2)   名を　なよ竹のかぐや姫と　つけつ (2)   世界のをのこ あてなる者も　いやしきも いかで　この姫　見てしがな いかで　この姫　得てしがな (2) 闇の夜に　出で　惑いあう   輝くほどの　美しさ たぐいまれなる　美貌の内に もてはやされて　日ごといやます おごりの心     石作りの皇子には　佛の御石の鉢といふ物あり　それをとりて賜へ   車持の皇子には　東の海に蓬莱といふ山あるなり   それに白銀を根とし　黄金を茎とし　白き玉を實として立てる木あり   それ一枝折りて賜はらむ   今一人には　唐土にある火鼠のかはぎぬを賜へ   大伴の大納言には　龍の首に五色に光る玉あり　それを取りて賜へ   石上の中納言には　つばくらめのもたる子安の貝一つ取りて賜へ (2)   ゆめまぼろしのうつしよに おごりのはるのあさましき ついに大蛇となりはてぬ   おぞましい おぞましい これは　わらわの姿ではない！ (1)   この晩　姫は　夢を見たのです それは　いつか　どこかで見たような 遠い昔の懐かしい夢でした (1)   我が儘の限りを尽くした姫でも 己の醜い姿に気づき 天上での約束を思い出し 心を入れ替える決意をしたのです   与えられた生を生きる事 人の世の喜びと嘆きを知り 現身の恋も知る   雲は風のまにまに　流れ漂い 行く水は　絶えず流れてとどまらず   水自竹邊流出冷 風從花裏過來香 (3)   万物は巡り　万物は流転する あらゆる生きとし生けるもの 永遠の命をうけ 海の中に　空の中に　森羅万象の彼方まで あまねく 存在する   姫は　長い　長い　旅路の末に 己の本来の姿を取り戻し 天に上って行ったのです (4)

 

夜のとばりの下りる頃

月が語り始める　物語

姫の恋物語は

また　いつか　お聞かせする事もありましょう。

これにて　ぷらイムの竹取物語　終わりとさせていただきます。

どうも有り難うございました。